かゆみ
乾燥性皮膚炎
文字通り皮膚の乾燥が原因しておこる皮膚炎です。
皮膚の水分量が低下することで皮膚が乾燥し、敏感になりかゆみが生じ、掻いてしまうことで湿疹が生じます。
中高年・高齢者は特に皮脂が減少し、また皮膚も薄くなるため、乾燥し、かさかさの肌になりやすく、季節性・暖房による空気の乾燥により皮膚の水分量が減少することが原因となります。同様に皮膚の薄い乳幼児も主に外気の影響により乾燥性皮膚炎が生じてしまうことがあります。
冬の乾燥した時期に悪化しやすく、すねや背中に多くみられ、粉をふいたようになります。
治療法
かゆみのない部分には保湿剤を使用します。
かゆみがでてしまっているところは皮膚炎になってしまっているのでステロイドの外用薬が必要になります。
かゆみが強く掻いてしまう場合、掻き壊しによる悪化を防ぐため、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服していただく場合もあります。
予防
- 保湿
保湿クリームなどを用いた毎日の保湿です。症状がない日頃から例えば入浴後などそれぞれ皆様の負担にならないタイミングを決めて日常生活の一部としていくとよいでしょう。
- 加湿器の使用
空気が乾燥すると皮膚の水分量が奪われてしまうので、空気の乾燥対策が有効です。
加湿器などを活用し適度な湿度を保ちましょう。冬は60%前後が理想的です。
乾燥が気になる方は早めに皮膚科受診をお勧めします。
蕁麻疹
皮膚に盛り上がった発疹ができる病気です。
1日のうちの30分だったり1時間だったり、少しの時間にのみ出現し、場所が移動します。イラクサ(蕁麻)に由来します。イラクサとは植物の一種でこの葉に触れると同じような症状がでます。
数日で収まる急性じんましんと1か月以上継続する慢性じんましんがあります。
原因
かゆみのもとのヒスタミンという物質が肥満細胞(マスト細胞)により放出されて、皮膚や粘膜の血管や神経を刺激するとで起こります。約80%は原因が特定できないため原因不明が多いことも蕁麻疹の特徴でもあります。
特定の食べ物やお薬を飲んで出る場合もあります。出る時間や状況を1週間ほどメモをしときますとそれが原因追及の手がかりとなる場合もあります。
症状
蚊に刺されたような膨れた発疹が身体の一部または全身にでます。強いかゆみを伴うことが多いですがさほどかゆみが強くないこともあります。これらが繋がってまるで地図の様に見えることもあります。これが目には見えない内臓にできると吐き気や下痢などおなかの不調が生じることもあります。
検査
通常は検査をすることは少ないですがアレルギー検査(view39※39項目のアレルゲンの検査)、血小板の値、肝臓、腎機能などを採血でチェックする場合があります。
診断
問診、視診、触診にて診断します。
じんましんは出たり消えたりしますので診察時まったく湿疹がでていないという場合もあります。発疹が出たときに日付けと時間がわかるように写真を何枚か撮りご持参していただけると手がかりとなります。
治療法
抗ヒスタミン薬内服が治療の主役です。外用薬も処方されますがそれはあくまでも補助的な役割ですので処方された内服薬を医師の指示通り内服してください。
抗ヒスタミン薬は様々な種類があり、相性もひとそれぞれです。1度目に処方された薬で効果がない場合、医師に
ご相談ください。その場合、他の種類のお薬で治療をすすめていきます。
眠気がでる薬も多いので薬の種類によっては自動車の運転や機械の操作などは注意が必要です。
注意点
お酒、入浴、サウナ、運動は症状がひどくなる可能性がありますのでお控えください。
応急処置としてはお水をたくさん飲んだり患部を冷やすことが有効です。
アナフィラキシーショック
重篤なアレルギーが起こると気道にもじんましんができ呼吸困難になることもあります。
過去にアナフィラキシーショックの経験がある場合、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方する場合もあります。
接触性皮膚炎
いわゆるかぶれです。
かぶれを起こす物質が原因となる物質に接触した場所にかゆみをともなう赤い点(紅斑)、水疱、ぶつぶつ(丘疹)が出現します。水疱は少しの刺激でつぶれて透明な液体(浸出液)が出てきてじゅくじゅくとします。
検査・診断
問診、視診、触診により診断します。
症状によっては日本人で陽性率が高い原因物質を24種類網羅した塗布用テープ(パッチテスト)を行うことがあります。
金属アレルギーが疑われたり、歯科金属治療前にも行うこともあります。
患者さんの背部や前腕屈側等にテープを貼付し、48時間後、72時間後、1週間後にICDRG(国際接触皮膚炎研究班)基準を用いて判定します。そして、72時間後の判定で紅斑・丘疹を認めたものを陽性と診断します。
原因を探るための検査は、一般的に血液検査ではなくパッチテスト(皮膚アレルギー試験)が推奨されます。
よ
り詳しい検査が必要と判断した場合、基幹病院、大学病院をご紹介、受診していただく場合もあります。
治療
ステロイドの外用や保湿薬の併用が基本です。補助的に、抗ヒスタミン薬の内服治療を用いることもあります。
重症の場合は、ステロイドおよび免疫抑制剤の全身投与を行なうことがあります。
花粉皮膚炎
花粉症の時期にのみ、肌に「花粉皮膚炎」の症状が見られることがあります。
これは、くしゃみ・鼻水といった一般的な症状の有無に関わらず、花粉の時期にのみ、肌の赤みやかゆみといった肌トラブルが生じるものです。
「春先は毎年お肌の調子が悪い」と感じている方は、実は花粉が原因なのかもしれません。花粉が露出している首や顔を中心に直接付着することで、かゆみや湿疹、乾燥、ヒリヒリした痛みなどの症状がみられます。
花粉症と同じく、花粉飛散開始2週間前から花粉症の治療を始める「初期療法」が、花粉症皮膚炎にも効果的とされています。
治療
当院では、内服薬、外用薬の処方を行います。抗ヒスタミン薬を主体とした内服薬と、ステロイド系の外用薬、保湿剤などで治療を行います。
また、皮膚を傷つけないような洗顔法、トラブルを起こした角質を保護するため、保湿をしっかり行うことで治癒を早める効果が期待できます。
アレルギー検査View39・(保険適用)
『View39』は、血液検査によって日常生活でアレルギーを起こしやすい物質を39種類検査ができます。
問診や臨床所見から原因推定が難しい患者様、アトピー性皮膚炎、花粉、食物アレルギー症候群が疑われる場合の検査として有用です。(保険適用が可能)
虫刺され
蚊をはじめ、ダニ、ノミ、アブ、ハチ、ケムシなどの虫に刺されたり、接触したりした箇所に生じる赤みを伴う発疹のことを言います。そのなかでも、とくに注意しなくてはならないのは、ハチに刺された後で、場合によっては、血圧低下や意識消失など、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が起こることもあります。
虫刺されは痒みを伴うケースがほとんどですが、痛みを生じる場合もあります。
この痛みは虫が皮膚を刺したり咬んだりすることによるものや皮膚に注入された物質の化学的刺激による痛みです。
痒みについては、皮膚に注入された物質(唾液腺物質や毒成分)に対するアレルギー反応によって引き起こされます。
このアレルギー反応には、「即時型反応」と「遅延型反応」があります。
即時型反応は、虫に刺された直後から痒みや発赤、じんましんなどが現れますが、数時間後にはそのような症状は軽くなります。
一方の遅延型反応では、虫に刺されてから1~2日後に痒み、発赤、ブツブツ、水ぶくれなどが生じ、数日~1週間程度で症状は軽くなります。このようなアレルギー反応の出方は、虫に刺された頻度やその人の体質によって大きな個人差が生じるのが特徴です。
治療
ステロイド軟膏を短期間外用します。虫刺されによる腫れや痒みが強い場合は、抗アレルギー薬の内服を用います。
また、場合によってはステロイド薬の内服が必要になります。
虫刺されは些細な症状ですが、放っておくと痒疹(痒みのある硬くなった皮膚)になるケースもあり、長期化することがありますので、虫に刺されたら早めの皮膚科受診をおすすめします。
アナフィラキシーショックの場合、必要に応じてエピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方します。
シラミ
シラミ症(アタマジラミ)は髪の毛にシラミが寄生することにより発生します。頭が痒くなることが多いですが痒くないこともあります。
毛にフケのような白い卵が付着していたり、アタマジラミが動いているのを見つけて気づくことが多いです。床屋さんで見つけていただくこともあります。顕微鏡でシラミの卵や成虫を確認できれば診断できます。
感染経路
子供たちは、スキンシップを重ねて成長しますので、大人よりうつりやすいと考えられます。一般的には、次のようなことでうつると考えられます。
スイミンングスクールでうつることもあります。
寝具類、枕、シーツ、ベッド等を介してうつることもあります。
接触しよりうつるので満員電車など、知らず知らずのうちにうつってしまうことも可能性としてはあります。
治療法
成虫と虫卵の除去が必須です。保険適応のお薬はありません。
ピレスロイド系殺虫剤である0.4%スミスリンパウダーやシャンプーが市販されています。
これは虫卵には効果がありませんので、1週間で卵が孵化することを考慮して2~3日おきに3~4回繰り返して使用します。
1回の使用時間はパウダーが1時間、シャンプーは5分間十分外用した後で洗い流します。
通常2~3週間の使用で改善することが多いです。
用法どおりに使用しても治癒しない場合には殺虫剤に対する耐性も考慮する必要があります。
近年はピレスロイド系殺虫剤に耐性を有するシラミが数%みられ、年々増加してきているそうです。散髪や剃毛も有効です。また肉眼で見える虫卵はこまめに取り除くようにしましょう。
疥癬
疥癬は、ヒゼンダニによる感染症です。重症度に応じて、通常疥癬と角化型疥癬の2種類があります。
角化型疥癬(ノルウェー疥癬ともよばれます)は通常発症することは稀で、疥癬の診断が遅れ、長期間の湿疹治療を行ったときなどに発症します。
痒みが強く、湿疹治療で改善しない手荒れ、体幹や陰部の結節性痒疹(赤いブツブツ)を生じます。肌と肌の直接接触が主な感染経度となり、近年では老人福祉施設などでの集団発生が多く、若い方が普通に生活されている中で感染することは稀です。
通常疥癬と角化型乾癬(ノルウェー疥癬)の違い
- 通常疥癬
感染個体数は10~1000
潜伏期間:1~2カ月で激しい痒みのある赤いブツブツが多発します。
好発部位は手指と男性外陰部に多い。頭・顔面にはありません。 - 角化型(ノルウェー疥癬)
感染個体数:約100万以上
潜伏期間:4~5日で発症することがあります。角化型疥癬がうつっても、通常疥癬として発症します。
症状:多彩な症状。全身のあかみ、フケ、が患部につきます。全身。頭・顔面や、爪の下にも生じます。
診断
-
- 問診、視診、触診、顕微鏡検査にて診断します。
-
- 問診にて症状、感染源との接触歴の病歴(病院や高齢者施設など)、ステロイド外用で改善しないなどの治療経過、顕微鏡検査でヒゼンダニを検出することで診断します。皮膚科専門医でもヒゼンダニを見つけることは難しく、1回の診察で疥癬を完全に否定することは出来ません。
治療法
- イベルメクチンの飲み薬
1週間間隔で少なくとも2回使用します。
- フェノトリンローション(スミスリンローション)の塗り薬
1回1本を首から下に全体に外用し、12時間以上経過後に洗い流します。 1週間隔で少なくとも2回使用します。
- クロタミトン(オイラックスクリーム)
毎日首から下全体に外用します。補助的に抗アレルギー薬内服を使うこともあります。
お子様の皮膚病
とびひ(伝染性膿痂疹)
細菌による皮膚の感染症です。
原因
傷口が細菌感染をおこすことで発症します。
ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌と略します)などが原因菌です。
傷口が細菌感染を起こすことにより発症します。傷から出た膿がまわりにつくとそこがあっという間に傷になって広がっていきます。
まるで火事のときの火のようなのでとびひと言われます。しっしんやかぶれ、虫さされ、擦りむいた傷がきっかけでなります。
お子様は鼻の中をよくいじります。鼻の中は黄色ブドウ球菌が常在菌として存在しますので鼻のいじりすぎで鼻からとびひになることもあります。
治療
抗菌薬の内服と外用です。
家での注意点
患部は清潔を保つようにしてください。とびひの部位を洗い流すことはとても大切です。
細菌を含んだ滲出液(じくじくした液)を洗い流すことになるからです。シャワー浴のみとしてください。
(湯舟にはつからないでください)1日1回、市販の石けん・ボディーソープを使って患部をやさしく洗い、シャワー浴や掛け湯などで十分にすすぎます。消毒液は使いません。
荒れが強いときはコンテスクリーンフォームなどの非常に低刺激のボディーソープで洗うと良いでしょう。
抗菌外用薬は1日2回ぬり、ガーゼで患部を完全におおうようにします。小さな患部でしたらばんそうこうでもよいでしょう。
ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン軟膏)ナジフロキサシン軟膏(アクアチム軟膏)、オゼノキサシンクリーム(ゼビアックスクリーム)が適しています。
とびひの時にステロイド外用剤を使用すると、悪化する可能性が高く大変注意が必要です。
正しい治療をすれば通常1週間程度で治癒します。
みずいぼ
水いぼは正式名称は『伝染性軟属腫』と言い、ポックスウイルスへの感染で引き起こされる皮膚のできものです。
1~5㎜大で光沢があって真ん中が凹んでるのが特徴。主に子供にできますが時折お父さん、お母さんにも感染する場合もあります。
最終的に経過観察のみで発疹は消失しますが、すべてが治癒するのは免疫機能が確立する学童期になることがほとんどですから幼児期にかかってしまうと年単位で完治するまでには時間がかかることもあります。
抗菌薬の内服と外用です。
原因
水いぼは乾燥やアトピー性皮膚炎で皮膚バリアーが壊れてしまった部分にウイルスが接触することで感染します。
皮膚バリアがが壊れてしまっているので次々と増えていきます。肘膝裏はアトピーの症状が出やすい部位なので水いぼも広がりやすいです。他者への感染経路は、肌と肌の直接的な接触です。患部が服などで覆われていれば感染することはありません。前述したとおり学童期になれば自然に消失します。
また、しっかり管理していれば他者へ感染させるリスクも少ないです。
治療法
- 鑷子切除
トラコーマ鑷子という先端がリング状になっている鑷子を用いて水いぼを1つ1つつまみます。
痛みを軽くするために切除の1時間ほど前に麻酔のテープを貼ってから切除することも可能です。
感染性があるためプール教室や、幼稚園、保育園、学校の方針によってはお友達にうつしてしまうことを避けるため、治療するまたは、ラッシュガード着用するなどの決まりごとがあります。
所属している所の方針にしたがって治療をすすめていきましょう。水いぼはかゆみが出ることがあります。かゆくて搔きむしってしまうと水いぼが広がってしまいます。ひどくなると全身にぎっしり水いぼが広がってしまう場合も。
このような心配がある場合は、切除を検討することもあります。日に日に数が増えて行く場合は、まだ数が多くないうちに切除するほうが良いこともあります。
治療薬m-BFクリームの使用も有効です。 - 経過観察
学童期になれば自然に消失していきますし、その後後遺症などのリスクも少ないため、経過観察という選択肢もあります。
予防法
皮膚のバリア機能を守ることが大切となります。
特にアトピー性皮膚炎や乾燥肌の方は皮膚バリア機能が壊れやすく重症化しやすいため、スキンケアが大切です。
具体的には保湿剤の使用(皮膚のバリアを強化するのに有用です。)湿疹があるときは皮膚のバリアが壊れていますのでステロイド外用薬を使用し、壊れた皮膚のバリアを修復する必要があります。
水疱瘡(みずぼうそう)
水痘(すいとう)は水痘帯状疱疹ウィルスの感染でおこります。集団生活をする幼児、学童に多発します。
まれに1歳以下の乳児がかかる場合もあります。
大人の水疱瘡は重症化しやすいので注意が必要です。潜伏期は2,3週間です。
はじめはおなかや背中に赤く小さな虫さされのような発疹が出現します。その後水を含んだ水疱になり、発疹が4-5日の間に全身に瞬く間に広がります。
皮疹は頭皮の中までおよびます。10日ほどでかさぶになり脱落します。
かゆみを伴うことが多く38度以上になることもあります。1-2週間で治ります。
水疱はやぶったり、できかけのかさぶたをはがしてしまうと治りが悪くなったり、大人になってもクレーター様の傷あとが残ることがあるのでかさぶたはいじらないようにすることが大切です。
すべての発疹がかさぶたになるまで学校や幼稚園、保育園などでの集団行動はできません。
治療
抗ウィルス薬の内服と抗菌外用薬や亜鉛華単軟膏で水疱から出てくる浸出液を吸収して乾燥させます。
またとびひが混在することもあり、そのときは抗生剤を処方することもあります。
かゆみに対して抗ヒスタミン薬を処方することもあります。年齢が上がってから発症すると重症化するリスクが高いためはやめのご受診をおすすめします。
乳児湿疹
生後1年までの赤ちゃんの肌にできる湿疹をまとめてこう呼んでいます。
赤いポツポツができる新生児ニキビ、頭皮やまゆげ、おでこなど皮脂の分泌が多い部位に黄白色のかさぶたのようなものができる脂漏性湿疹、首や脇などにできる湿疹などです。
正しいスキンケアを続けていれば、皮膚のバリア機能が次第に備わって来て生後1歳頃には落ち着いてくることが多いとされています。
原因
様々な原因が複雑に絡み合って出ます。生後3カ月頃までの赤ちゃんはお母さんの女性ホルモンの影響をまだうけていて、それが皮脂の分泌を促し、それがニキビや脂漏性湿疹をはじめとする皮膚のトラブルを引き起こすのです。
生後3カ月後以降になると皮脂の分泌が少なくなって、乾燥による湿疹が増えていきます。赤ちゃんの肌は大人よりも薄いため、外気の影響をうけやすいため、秋から冬にかけての乾燥シーズンは毎日保湿をおすすめします。
診断
問診、視診、触診により総合的に診断します。
赤ちゃんのお肌はバリア機能が弱く、カンジダ属の真菌(カビ)によるカンジダ症にかかっていることもあるので、場合によっては病変部から少し皮膚を採取して(ピンセットやカミソリで皮膚を少しとりますがくすぐったい程度で出血や痛みはありません。)の真菌検査をおこなうこともあります。
治療
軽度の場合、優しく洗ったあとワセリンなどの保湿で改善されますが、症状に応じて抗菌外用薬、ステロイド外用薬、抗菌薬を処方する場合もあります。
トラブルのあるときは刺激の少ないボディーシャンプーを使用するのがよいでしょう。
予防法
保湿と清潔を保つことです。刺激の少ないボディーシャンプーやベビー用のボディソープをよく泡立てて、手でやさしくなでる程度洗ってあげましょう。やさしくお湯をかけて洗い流します。
頭皮にかさぶたやフケのような塊がついている場合、入浴前にオリーブオイルをコットンなどに浸して数分パックし、ふやかしてから優しく洗ってください。この際も無理にはがさず、取れきれなかったかさぶたやふけはそのままにしておいてください。
入浴後、潤いが皮膚の中に残っているうちに保湿を行うのが効果的です。お風呂から出たらなるべく速やかに保湿を行ってください。
おむつ皮膚炎(おむつかぶれ)
太ももの付け根、肛門周辺、下腹部などおむつを着用している部分に、赤い発疹などが現れます。症状が進行すると、強いかゆみを伴い、ただれが生じることがあるため、早めの対処が必要です。
原因
- 便によるよごれ
便には腸液が含まれております。
この腸液には食べ物を溶かして消化する消化酵素が含まれているため、これが皮膚に付着し、長い時間が経過すると皮膚に大変大きなダメージを与えてしまいます。
また、大腸菌などの腸内細菌なども含まれておりますので便には皮膚を刺激する成分が多く含まれています。そのため、便がおむつの中で皮膚に長時間触れていると、炎症が起こります。特にゆるい便は通常の便よりもアルカリ性の消化酵素が多く含まれており、皮膚への刺激がより強くなります。
乳児の皮膚は大人の皮膚に比べ、薄くバリア機能も弱いであるため、短時間の接触であっても、赤くかぶれやすくなります。 - 摩擦
皮膚とおむつが擦れてしまったり、しっかり汚れを取ろうと思いおしり拭きで強く擦ってしまう刺激によって皮膚がダメージをうけて生じることがあります。
- かぶれ
おむつの素材やおしりふきの成分のかぶれてなることもあります。
症状
はじめは肛門の周辺の淡い赤みがあります。
この時点で乳児はすでにヒリヒリやかゆみを感じているため、おしりをふくことを嫌がったり実際に拭くと泣いたりします。
症状がすすむと赤みの範囲が広がり、ぶつぶつした発疹が出たり、皮膚が光沢を浴びた少し腫れたような状態になります。入浴や排尿のたびに泣くようになります。
予防
おむつをこまめに交換し、便や尿と皮膚が密着している時間を少なくしましょう。おむつ交換や入浴の際、こすらないで優しく撫でるようにケアしてください。
治療
保湿剤と軟膏による治療を行います。「カンジダ」と呼ばれるカビの一種により起こるカンジダ症(真菌感染症)の場合もありますので、症状によっては患部にカビがいないかどうか顕微鏡で検査をすることがあります。
舌なめ皮膚炎
口のまわりを繰り返し舌でなめることで口周囲が荒れる皮膚病です。幼児期、学童期のお子さんに多いです。
舌でなめた部分に境界がはっきりと赤くなります。
乾燥した皮膚を湿らせようと舌でなめまわすことで余計に悪化します。
唾液に含まれた消化酵素で皮膚がダメージをうけ、加えて舐めるという摩擦の刺激がさらに皮膚をいためつけてしまうという悪循環におちいってしまいます。空気が乾燥してくると生じやすいです。
治療
保湿剤で直接唾液が皮膚に付着するのを防ぎます。炎症が強い場合はステロイド外用薬を処方することもあります。
予防法
唇の乾燥を防ぐことが大切です。ワセリンでの保湿、水分をこまめに摂取することも有効です。
冬場は汗をかかないため水分の摂取が減りがちです。それがくちにるの乾燥にもつながります。
子どもの舌なめ皮膚炎は成長過程での習慣が原因でもあります。
やめさせようと注意すると余計に意識してなめてしまい悪化することもありますので親御さんも配慮が必要となります。
ワセリンをぬっても洋服のそででぬぐってしまったり、またそこをなめてしまったりすることがある場合はお子さんがぐっすり眠っている間に2,3回塗ってあげるのも方法です。
よだれかぶれ
よだれかぶれは、よだれが皮膚表面に長時間あることによって生じる接触皮膚炎です。口のまわりにできる赤くつぶつした発疹です。よだれの成分である消化酵素が肌につくことで、炎症を起こします。
治療
ぬらした柔らかいタオルで、やさしくよだれをこまめにふきとりワセリンで保湿が基本的な治療ですがステロイド外用薬や抗菌薬外用薬を処方するとこもあります。
注意しなければいけないのは単なるよだれかぶれに見える湿疹の中には食物アレルギーによるものもあるという点です。特定の食材を食べたあとすぐに(30分程度)で口まわりにぶつぶつ、赤みが現れ、全身にも発疹が出てきている場合はアレルギーの可能性が高いです。判断が難しい場合は皮膚科専門医にご相談ください。
痛い
帯状疱疹
帯状疱疹の原因は水ぼうそうのウイルスです。みずぼうそうは多くの人が子どもの頃にかかりますが治った後も、ウイルスは体内に潜伏しています。加齢や疲労、病気などで免疫機能が低下するとウイルスが再び神経にそって現れます。神経にかかわるために皮膚に痛みの伴う発疹が現れます。加齢や疲労、病気などがひきがねとなることが多いです。日本人成人の9割以上の方が水ぼうそうに感染したことがあると言われております。したがって大人であれば誰しもがかかる可能性があります。特に、50歳を過ぎると発症が増えて、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。
神経痛について
一般的にはチクチク、ピリピリとした知覚過敏のような痛みが皮膚に生じ、数日後に水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます。症状は体の左右どちらかに現れるのが特徴で、体中どこでも現れる可能性があります。痛みの度合いは個人差がありますが眠れないほど激しい痛みに襲われる場合もあります。ウイルスが神経を大きく傷つけてしまうと、皮膚の症状が治った後も痛みが続くことがあり、3か月以上続く痛みは帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。その痛みは、「電気が走るような痛み」や「焼けるような痛み」と表現され、日常生活に深刻な影響を及ぼします。50歳以上で帯状疱疹を発症した人の約2割がPHNになるといわれており、80歳以上の高齢の方では約3割とより高くなります。帯状疱疹の症状が顔面に現れた場合、目や耳の神経が傷つき、視覚や聴覚に障害が残ることがあります。
視力低下や顔面神経麻痺などの症状が後遺症として残ることもあります。心配な症状が現れたら早期に皮膚科受診をおすすめします。
予防法
予防接種があります。50歳以上になったらワクチン接種が可能になりますので医師にご相談ください。
治療法
抗ウイルス薬を使った治療を行います。早期の治療が症状が軽くすむポイントとなります。痛みの伴う発疹に気づいたら、症状が軽いうちに早めに皮膚科受診、専門医に相談するようにしましょう。
※帯状疱疹は人にうつすことはありません。しかし、水ぼうそうになったことのない小さなお子様にウイルスをうつしてしまう可能性はあります。帯状疱疹になったら、水ぼうそうに感染したことのない乳幼児や水ぼうそうの予防接種をしていない子どもに接触するのは避けるのが望ましいといえます。一度帯状疱疹になるとウイルスに対する免疫機能が上がるため、再発しにくくなりますが、体の免疫機能が低下すると、再びなる可能性があります。一度なったことがあっても、予防を心がけましょう。
擦り傷・切り傷
転ぶなどして皮膚がすりむけた状態が擦り傷(擦過創)、包丁などのするどい刃物で鋭く切れた切り傷が切創です。
応急処置
まずは処置をする手を必ずきれいに洗います。擦り傷を石鹸や刺激の少ない洗浄剤でよく洗い流しましょう。冷水かぬるま湯で洗い流し表面の砂、土、ほこりなどをとります。擦り傷の中に異物が混ざっていたり、感染の可能性があるため早めに皮膚科受診をお勧めします。病院で鑷子という特別なピンセットの形をした器具で異物をとっていきます。
深い傷の場合、なかなか出血がとまらないこともあります。特に切り傷では血がとまらずに驚いてしまうこともあるかと思います。ガーゼで,しっかりおさえましょう。上からアイスノンなどで患部を冷やしますと血管が収縮して出血は少し落ち着くこともあります。出血は切り傷より擦り傷のほうが止まりやすいです。心臓より高く上げて圧迫、クーリングをしてください。
治療
擦り傷は、創部の洗浄、消毒、異物がないかチェックします。切創の場合、創部の洗浄、消毒、異物がないかチェック後場合によっては局所麻酔で縫合をします。抗菌外用薬で患部をガーゼで覆うもしくは湿潤療法を行います。抗生剤の内服を処方することもあります。
ヘルペス
ヘルペスは口唇ヘルペスと陰部ヘルペスが代表的ですが、体中どこでもできる可能性があります。膝の裏、腰まわり、医療従事者は手指に出ることもあります。口唇ヘルペスはくちびるやその周囲に小さな水ぶくれができます。単純ヘルペスウイルスに感染することで起こる病気です。直接的な接触のほかにウイルスがついたタオルや食器などを介しても感染しますので、家族間での感染が多いです。このウイルスは一度感染してしまうと、再感染や再発を繰り返すことが特徴で、大人に見られる口唇ヘルペスのほとんどは再発で、年に1~2回程度再発する場合が多いようです。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2つのタイプがあります。1型はくちびる、顔面などの上半身に、2型は性器を中心とする下半身に主に発症します。以前は子どものうちにほとんどの人が家族から口唇ヘルペスに感染しておりましたが、衛生状態の改善や核家族化などの影響で、現在は20代~30代では約半数の人しか抗体を持っていないとされています。年齢が高くなるにつれて抗体をもっている人が増えますが、以前に比べ、抗体を持っている人は減っております。
初めて感染すると発疹が広範囲におよんだり、症状が重症化することがあります。なお、1型に対する抗体をもっていると2型にも感染しにくく、発症しても軽症で済む場合が多いです。初感染の後、ヘルペスの症状がおさまっても、ウイルスは身の中に潜んでいます。その後、また、繰り返し皮膚や粘膜にまた水ぶくれなどの病変をつくります。これは他人からうつったものではありません。
現在使える薬では潜伏しているヘルペスウイルスを根治することはできません。再発でヘルペスの症状が現れやすいのは、疲労や風邪、紫外線、胃腸障害、ストレスなどの免疫力の低下などの場合です。症状が出ている時期は水ぶくれの中にウイルスがたくさんありますので、接触により単純ヘルペスに感染する可能性が高くなります。
潜伏期間は5~10日程度です。症状発症時にキスや性交渉をすることでパートナーに口唇ヘルペス、性器ヘルペスをうつしてしまうことがあります。
- 唇ヘルペス
[症状]
水ぶくれが現れるのに先立ち、皮膚にピリピリ、チクチク、ムズムズなどの違和感、かゆみ、ほてり、痛みなどを感じることがあります。何度もかかっている方はいる発疹が出る前に自分でわかることが多いようです。その後、口唇や口の周りなどの一部が赤くなり、その上に小さな水ぶくれができます。患部は痛かゆさを感じます。水ぶくれがやがてかさぶたとなって、2週間程度でおさまります。また、同じヘルペスウイルスが原因で、口内炎の症状が出る場合もあります。初感染の場合広範囲に5mm位までの水疱が多発します。発熱したり、口唇ヘルペスであればあごや耳の周囲のリンパ腺が腫れたりすることも多いです。再発の場合一般には口唇や口のまわりの一部分に限局し、軽症のことが多いです。もともとアトピー性皮膚炎が基礎疾患としてある場合皮膚から感染して、湿疹が全身にひろがったり初感染と同様、発熱したり、リンパ腺が腫れたりするカポジ水痘様発疹症になることがあります。
[治療]
抗ヘルペスウイルス外用薬や内服抗ヘルペスウイルス薬で治療します。抗ヘルペスウイルス薬は症状が出たら、できるだけ早い時期に治療を始めるのが望ましいとされます。通常は5日間内服すれば十分で完全に治るまで服用する必要はありません。
[予防]
口唇ヘルペスは疲れているときやストレスがかかったときに再発することが多いです。日頃からバランスのよい食事をとり、十分に休息することが大切です。症状が出ている時期はウイルスの量が多く、感染力も強いので特に人との接触には注意が必要です。ウイルスがついたタオルや食器からも感染しますので、これらの共用は避けてください。食器は洗剤で洗いましょう。タオルはほかの洗濯物と一緒に洗って構いません。相手が免疫力をもっていれば、発症しないか、発症しても軽症なことが多いですが、次のようなケースでは重症化しやすいので、注意してください。
水ぶくれがやぶれると他に伝染する可能性が高くなりますし、細菌感染が加わりやすくもなります。もし自然に破れてしまっても、患部を洗うことで多くの場合は細菌感染が防げますので、洗うことに心がけてください。
- 性器ヘルペス
性器ヘルペスは、性器やお尻の周辺に水ぶくれができる病気です。性的な接触によってウイルスが感染する性行為感染症の一つです。性器ヘルペスは男性よりも女性に多く、全体では女性が男性の約2倍とされています。初感染の場合は、主に性行為でうつります。接触した日から4~10日程度の潜伏期の後発症します。また自分が患部に触れて、他の部位をさわることで、さわった部位に感染することもあります。また口唇ヘルペスが性器に感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。自分の口唇ヘルペスを手でさわるなどして性器にうつしてしまう可能性もあります。おそらく、皮膚や粘膜にできた目に見えないくらいの小さな傷からうつるものと考えられています。ウイルスがついたタオルや洋式便座に接触して、人に伝染することがあります。症状が出ている時期は水ぶくれの中にウイルスがたくさん存在しています。以前に単純ヘルペスにかかったことがなくてこのウイルスに免疫がない人や、免疫があっても抵抗力が落ちている人は、接触により単純ヘルペスに感染する可能性が高くなります。発疹が出ているときにパートナーと接触すると感染しやすいです。初感染の場合は、初期にIgM抗体が陽性となりますので、それを調べれば初感染かどうかはわかりますが再発の場合は抗体価を測定してもあまり情報は得られません。また通常の検査では1型か2型かの判定はできません。
[症状]
水ぶくれが現れるのに先立ち、性器に違和感を感じたり、太ももや脚の付け根、臀部などの皮膚にピリピリ、チクチクとした痛みなどを感じることがあります。再発を繰り返す人は自分でわかることがあると思います。その後、小さな水ぶくれが密集してできます。患部には軽いかゆみやほてり、痛みなどを感じることが多いです。水ぶくれが破れると、ただれ、潰瘍となります。女性ではとても痛くて排尿できないほどになることもあります。脚のつけ根のリンパ腺が腫れて痛みを伴うこともあります。2~3週間くらいでおさまってしまいますが、薬を使うことで早く治すことができます。初感染か再発か、体調のよしあしなどの要因で症状の程度は異なります。
アトピー性皮膚炎
かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返すのがアトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎の方は皮膚の"バリア機能"が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。低下したバリアの肌では、健康な肌よりもアレルギーの原因物質が入りやすく、これらが免疫細胞と結束し、炎症が出現します。また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、さらにかゆみを感じやすい状態とり、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
アトピー性皮膚炎の診断
問診、視診、触診にて診断します。必要に応じてアトピー性皮膚炎の状態を把握する手がかりとして、血液検査を行う場合があります。アトピー性皮膚炎に特有の血液検査として、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するために、TARCや特異的IgE抗体検査を行うことにより、ダニやカビ、ペットなど、どのような悪化要因が関わっているかを検討します。必要に応じて鑑別のために健康診断などで実施するような一般的な血液検査を行うこともあります。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
皮膚が乾燥により肌のバリア機能が低下している状況下で皮膚から食物が入り込むと食物アレルギーが発症します。したがって、乳幼児や小さなお子様はこまめな保湿をすることが大切で湿疹ができたら食物アレルギーを発症させないためにも適宜ステロイド外用剤を使用し、速やかな治療が必要となります。
治療
- 外用薬
まずは症状が軽い、もしくは無いときにも毎日保湿でスキンケアをします。症状があるときは症状にあった外用薬を使用します。ステロイド外用薬、タクロリムス水和物軟膏(プロトピック軟膏0.1%、プロトピック軟膏0.03%)、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(コレクチム軟膏0.5%、コレクチム軟膏0.25%)、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(モイゼルト軟膏1%、モイゼルト0.3%)
- 経口薬
- 抗アレルギー薬
- 注射薬
デュピクセント(ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体)皮下注射様々な治療を組み合わせて最終的には柔らかくすべすべのお肌を維持することを目指します。まず、ステロイド外用薬などにより治療を行います。湿疹の炎症が落ち着いたその後は、すべすべのお肌を維持するために、「寛解維持療法」を行います。寛解維持療法では、保湿剤だけだと湿疹が再燃する場合、保湿剤でもステロイドでもない外用薬を使ったプロアクティブ療法を行います。
- 光線療法
紫外線の免疫抑制作用を利用した治療法です。当院ではエキシマライトを使用します。
魚の目
魚の目は、足の裏や指の間などの体重がかかったり、負担のかかる場所にできやすい部分の角質が厚く芯のようになり、真皮に向かって楔状に食い込んで行きます。これがウオノメです。放置しておくと歩くたびに、楔状に食い込んだ角質の芯が神経を圧迫して痛みを生じてきます。
原因
女性の場合ハイヒールなどの先端が狭かったり、先端に負担がかかる靴をはくことでなる場合があります。
高齢者は足の裏の筋肉が落ちてしまうことで足の裏に負担がかかり魚の目ができやすいと言えます。
治療
病院でスピールこうという角質を柔らかくする張り薬を貼り、1週間後病院でふやけた角質をけずりとります。
この処置を繰り返すことで治療をします。液体窒素の治療を組み合わせることもあります。
自己判断で削りを繰り返しているとかえって症状が悪化することもありますので皮膚科専門医にご相談をおすすめします。
たこ
正式には胼胝と呼びます。皮膚の表面が摩擦をうけることで皮膚か固くなる症状です。ラケットやバットなどを握る部分や鉛筆を持ち続けるところなどの指の関節や足の裏にできやすいことでわかるように、皮膚の同じ場所に圧力を受け続けたり、刺激が加わったりすることでできます。うおのめにくらべて痛みは少ないことが多いですが時折痛みがでる場合もあります。
症状
皮膚が硬くなったり、皮膚が分厚くなったり、時折痛みを生じることもあります。
原因
女性の場合ハイヒールなどの先端が狭かったり、先端に負担がかかる靴をはくことでなる場合があります。男性のビジネスシューズでも同様です。高齢者は足の裏の筋肉が落ちてしまうことで足の裏に負担がかかり胼胝ができやすいと言えます。また、歩き方の癖なども影響します。立ち仕事の方は長い時間足の裏に負担がかかるのでなりやすいです。既往歴に関節リウマチや糖尿病や脳卒中がある方も胼胝ができやすいです。糖尿病の方は足の感覚が低下し、潰瘍化、2次感染を起こすこともあり、注意が必要です。
治療
病院でスピールこうという角質を柔らかくする張り薬を貼り、1週間後病院でふやけた角質をけずりとります。この処置を繰り返すことで治療をします。液体窒素の治療を組み合わせることもあります。自己判断で削りを繰り返しているとかえって症状が悪化することもありますので皮膚科専門医にご相談をおすすめします。
熱傷
熱傷(やけど)とは、熱や刺激性の高い化学物質による皮膚・粘膜の障害のことであり、日常で最もありふれた外傷のひとつです。
原因として多いものには、熱湯や油が多く、小児の場合は炊飯器からの水蒸気やアイロンなどがあります。また、これら高温のものだけではなく、ホットカーペットや湯たんぽに長時間あたっていたことによる低温熱傷もあります。
低温熱傷は軽傷に思えて深くまで熱傷が到達し、長期に治療がかかることがあるため注意が必要です。化学物質による火傷は化学熱傷とも言われフェノール、硫酸、塩酸などに触れると引き起こされます。ときに深くまで炎症が到達してしまうことがあり注意が必要です。
熱傷は細菌感染を起こすと、広範囲の受傷ではなくても命にかかわる重症な症状がでる場合があります。痛みがない場合、熱傷が奥深くまで到達している場合がありますので特に注意が必要です。
深い熱傷を受傷してしまったり、もともとの体質によりケロイドや肥厚性瘢痕を起こすこともあり、さらにそこから将来的に熱傷瘢痕がんが発症することもありますので熱傷は直後の処置が大変重要となります。
瘢痕を生じた場合は長期的な経過観察が必要となることがあります。
熱傷は深さにより3種類あります。
- 発赤のみで、傷あとを残さずに治癒します。
- 2度
浅達性:真皮層の浅い部分までのやけどです。水疱を作りますが、浅いもので、目立つ傷あとを残しません。
深達性:真皮層の深い部分まで及んだやけどです。治癒に時間がかかり、傷あとを残す可能性があります。 - 3度
皮膚全体が損傷を受け壊死した状態です。範囲が広くなると、全身に影響を及ぼし、感染を合併し、敗血症をきたしたり、植皮が必要なこともあります。3度の深さになると痛みはあまり感じません。
治療
まずは冷やします。直後のクーリングが今後の経過を大きく左右しますのでとになく冷やしてください。冷やしながら皮膚科受診をおすすめします。浸出液が多い状態の時は、刺激の少ないボディーシャンプーで傷を洗って清潔にし、軟膏を塗ったあとガーゼをあてます。浸出液が減ってきましたら、皮膚を上皮化させていく治療を行います。この時点になりましたら、よく洗ったあと、感染を起こしていなければ、皮膚の上皮化を促進していくために、必要に応じて創傷被覆材で皮膚を保護すると良いです(湿潤療法)。ここで重要なのは、傷口を洗い、無菌に近い状態にしてから創傷被覆材で保護することです。
日常生活で注意しなければいけないポイント
- ストーブ・ヒーター(やかんは乗せないでください。小さい子供のいる家庭は柵を作りましょう。)
- アイロン(小さいお子さんのいる場所では使用しないようにしましょう。また手の届くところに置かないようにしましょう。)
- ポット、熱いお茶やコーヒーなどが入ったコップ(小さいお子さんのいる場所では使用しないようにし、手の届くところに置かないようにしましょう。)
- お風呂場(小さい子供が湯に近づかないようにするため、風呂の戸はしめましょう。お湯を沸かす時は浴槽のふたをしめるなど、浴槽に転落することがないように注意しましょう。子供のみではなく、高齢者でも注意が必要です。)
- 使い捨てカイロ
衣服の上から装着すること。直接皮膚の上にあてないこと。湯たんぽ袋に入っていたり、タオルにくるんであ ってもやけどをすることがあります。寝る前に布団の中に入れておいて寝具を温めておき、寝るときには出して寝ましょう。寝ているときは、感覚が鈍り、長時間接触することになりがちです。また、糖尿病のある方は、もともと知覚が鈍くなっているので、より注意が必要です。
- 使い捨てカイロ、湯たんぽ、こたつ、ホットカーペットも火傷の原因になりますので十分な注意が必要です。
できもの
イボ
正式には尋常性ゆうぜいといいます。ヒトパピローマ・ウイルスの感染により皮膚にできます。手や足にできることが多いですが、体中どこにでもできる可能性があります。現在、いぼウイルス(HPV)は220種類以上の型があることが判明しています。
症状
各々のイボウイルス(HPV)の型によって、「尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマ、ミルメシア、足底疣贅」など、部位ごとにさまざまな臨床的な病型の違いを呈します。足の裏に出来るとウオノメととても良く似た形状をしています。放っておくと歩くたびに痛みをともなうこともあります。周辺も含め角質化傾向にあり、血管が侵入、表面まで増殖するため赤い点々がみられます。
診断
肉眼で診断が可能なことが多いですが、ダーモスコープにて血管の侵入が確認したり、乳頭種状の突起を確認することもあります。
治療
液体窒素による冷凍凝固術が中心です。必要に応じてヨクイニンの内服もします。治癒までには最低でも1週間に1度の治療で2,3ケ月かかります。それ以上かかる場合も珍しくなく、治療には根気と時間が必要な場合もあります。
にきび
尋常性ざそうと呼ばれます。原因は3つです。
- 皮脂の過剰分泌
- 毛穴の詰まり
- アクネ菌の増殖です。
不規則な生活習慣、食事内容、精神的なストレス、洗顔方法、紫外線ダメージ、喫煙や乾燥などから症状が悪化します。背中やおしりなどもニキビは発生します。それぞれのニキビの特徴をご紹介します。気になる場合は、早めに受診してください。
治療
- 外用薬:アダパレン(ディフェリン・エピデュオ)
過酸化ベンゾイル(ベピオ、デュアック、エピデュオ)
抗菌外用薬(ダラシンTゲル、ダラシンTローション、ゼビアックスローションetc) - 内服薬:ビタミン剤(シナール)・漢方
※炎症が強い場合は抗生剤の内服を処方します。
- 面皰圧出
にきびに小さな穴をあけて専用器具で詰まっているものを圧出します。
保険診療での治療がうまくいかない場合にはケミカルピーリングが効果を発揮することがあります。当院では皮膚科専門医による適切な診断、治療を提供いたします。
老人性いぼ
正式には脂漏性角化症と呼ばれます。脂漏性角化症は、皮膚に発生する良性の腫瘍であり、年齢と共に増加することが多いです。早い方は20代くらいから見られはじめます。
特徴
黒褐色調でドーム状に隆起していることが多いですがよくみると少し隆起している程度のものもあります。表面はざらざらしていることが多く顔、胸、背中、お腹、手足、頭など、体のどこにでも発生します。時折かゆくなったり赤みをおびたりします。
脂漏性角化症は、悪性腫瘍と区別することが重要です。鑑別は経験を積んだ皮膚科専門医による診察が必要となります。疑わしい部分がある場合、基幹病院や大学病院を紹介受診していただきます。
診断
視診、ダーモスコピーを使用して皮膚病変を拡大観察し、特徴的なパターンを確認し、疑わしい場合や診断が難しい場合は、皮膚生検を行い顕微鏡検査で細胞レベルまで詳細を確認します。
治療
液体窒素療法(凍結療法):
-196度の液体窒素で病変を凍結し除去します。個人差がありますが数回の治療が必要となります。
※手術による切除法は当院では行っておりません。
軟性線維種・アクロコルドン・スキンタッグ
首やわきの下に出来る小さな肌色のいぼ状のものでだんだんと数が増えてくることもあります。中高年以降に目立ってきますが、20歳代から徐々に出来始めます。これらのイボが生じる原因はわかりませんが、首以外にもまぶたやわきの下、胸など皮膚が薄くて弱い部分に見られる傾向があります。皮膚の良性腫瘍の一種で、特に心配な病気ではありませんが、時折感染を起こし赤く腫れたり、痛みを生じることがあります。
治療
-196℃の液体窒素で冷却した特殊なピンセットや綿棒でイボを凍結します。凍結した部分は1~2週間後、かさぶたになって自然に脱落します。
粉瘤
毛穴の奥が袋状になり古くなった垢がたまったものです。表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)やアテロームと呼ばれます。これが細菌感染などにより炎症を起こすこと強い痛みや腫れが生じます。はじめは小さな黒い点や米粒ほどのしこりです。粉瘤は、全身のどこでも起こる可能性がある皮膚疾患です。体に粉瘤を思わせる発疹が見られたら稀に他の病気のこともありますので自己判断せずに似ぬか受診をおすすめします。
原因
皮膚科の診療ではよくみられる疾患ですが原因はまだほとんど明らかになっていません。外部からの刺激などによってできるといった説や、ウイルス感染が影響している、毛の生え際の詰まりなどが関わっている、といった可能性などが考えられております。
これは必ずしも不潔にしているからできるわけではありません。粉瘤は清潔にしていても生じることがあります。残念ながら、粉瘤の具体的な予防策は今のところありません。しかし、お肌が新しく生まれて、それが垢となってはがれ落ちるサイクルである「ターンオーバー」の乱れは粉瘤形成に影響すると考えられます。皮脂や角質が溜まりやすくなることは事実です。ターンオーバーを乱れさせる主な要因には、生活習慣の乱れや紫外線、乾燥、ホルモンバランスの乱れなどがあるため、これらの影響をできる限り取り除くことは、粉瘤の予防につながる可能性があります。保湿、日焼けしないこと、規則正しい生活に心がけましょう。
治療
痛み、腫れがでてきたらお早目の皮膚科受診をおすすめします。抗生剤の内服、抗菌外用薬の使用で治療します。膿がたまっているときには、メスを使って膿を排出することも。繰り返す場合は外科的に袋ごととる必要が出てくるもあります。
稗瘤種
直径1~2mmの白色の丘疹で、主に眼囲に多発します。稗粒腫は大きく分けて自然にできてくる場合と、こすったりひっかいたりしてできる場合の二つがあります。こすったりひっかいたりはしないようにしてください。また、手術の傷の後にできることもあります。
治療
自然治癒する場合が多くありますが数か月たってもとれない場合、または大勢の人の前にでることがあるため早くとりたい場合は針で小さく穴をあけた後、圧出します。アフターケアは特別必要なく、出血が止まれば普段どおりの生活をして構いません。傷あとに残ることもほとんどありません。
汗管腫
汗管腫とは下眼瞼によくみられる直径数ミリ程度の肌色~やや黄色、もしくは褐色がかった丘疹です。思春期以降の女性にできやすいです。痒みなどの自覚症状はありません。残念ながら放っておいても自然に消えることもほとんどありません。
原因
汗管腫は、エクリン汗腺(汗を分泌する管)の細胞の増殖が原因で起こります。
治療法
保険診療では治療法がなく、自費診療でのレーザー治療となります。
※当院では自費診療でのレーザー治療は行っていないため治療ご希望の患者様は自由通り皮ふ科をご紹介が可能です。その際は受付が、ご予約手続きまで行いますのでお気軽にお声かけください。
血管拡張性肉芽腫
5㎜~2㎝くらいの赤くて軟らかな盛り上がりです。細い血管が増殖した良性腫瘍で、ほとんど痛みはありません。出血しやすいのが特徴です。顔や頭、手の指などに多く、1~2週間で急に大きくなります。半球形のことが多いのですが、基部がくびれていることもあります。自然に治ることは期待できず、出血すると止まりにくい傾向があります。皮膚癌を含むほかの腫瘍の中には同様に出血しやすい疾患もあるので早めに皮膚科専門医にご相談をおすすめします。
治療法
液体窒素療法(凍結療法):
-196度の液体窒素で病変を凍結し除去します。個人差がありますが数回の治療が必要となります。場合によっては手術で取り除く場合もあります。※手術による切除法は当院では行っておりません。
脂肪腫
皮膚との癒着がなく、やわらかい腫瘍です。成熟した脂肪細胞が徐々に増大していくことで、触ると柔らかいふくらみとして感じられることがほとんどです。通常痛みや痺れを伴うことはありません。極めて稀に悪性の「脂肪肉腫」であることがあります。
症状
脂肪組織のある場所なら身体のあらゆる場所にできうるものですが、背中・肩・首などに多く、次にお尻・二の腕・太ももなどに多いとされています。大きさは数mm大の小さなものから、直径10cm以上にもなる巨大なものまで様々です。良性ですが放っておくとどんどん大きくなってしまうことがあります。
診断
問診、視診、触診により総合的に診断します。脂肪腫が疑われた場合、基幹病院や大学病院にご紹介する場合がございます。
確定診断には画像診断も行います。検査には、エコー検査・CT・MRIなどがあります。これらの検査などにより腫瘍の存在する位置や、ある程度の診断は可能ですが、確実な診断のためには腫瘍を摘出して病理検査を行ったほうが良いこともあります。稀ではありますが、肉腫と呼ばれる悪性腫瘍(ガン)の可能性があるためです。※当院では画像検査は行っておりません。
悪性黒色腫
皮膚のメラニン色素を産生する細胞から発生する皮膚がんです。日光や紫外線の影響を受けやすい部位に好発し、はじめは普通のほくろのように見えます。悪性黒色腫(メラノーマ)は転移のリスクが高いので、なるべく早期の専門医による診断と対応が不可欠です。
- 表在拡大型メラノーマ
皮膚の表面を横方向に広がっていきます。早期に発見できた場合、他の型と比較して予後が良好です。
- 結節型メラノーマ
結節型メラノーマは急速に成長し、皮膚の深部に向かって垂直方向に成長するため、早期発見が難しく予後が最も悪いです。
- 悪性黒子型メラノーマ
悪性黒子型メラノーマは、顔面や首に発生する慢性的な病型です。高齢者の方に多く見られます。
- 末端黒子型
一般に青年から壮年期以降の足底や手足の爪に生じます。最初は不整形の黒色斑で始まり、数ヵ月から数年を経て色素斑内に結節や腫瘤、潰瘍を生じます。外的刺激が誘因になることがあります。日本人では最も多い病型です。
注意すべき肌質
色白で日焼けすると赤くなる、あるいはそばかすができやすかったり、体にほくろが50個以上ある方は注意が必要です。上記に当てはまる方は1か月に1回鏡で自己チェックするのも有効でしょう。
注意点は以下です。
- 左右非対称ではないか、
- 境界は不鮮明ではないか
- ひとつのほくろに濃い部分と薄い部分が混在していないか
- 大きさが6mm超えていないか
- 形、色、大きさに変化がないか
日本人は10万人あたり1~2人と希少癌ではありますが近年日本でも増加傾向にあります。日本人は足底にできることが多いです。心配な症状がある場合はすぐに皮膚科専門医にご相談を。
毛髪・頭皮
円形脱毛症
円形脱毛症は、円形または楕円形の脱毛を特徴とする疾患です。円形脱毛症は様々な症状があり、一般的には10円玉くらいの脱毛から、頭部全体や体毛にまで及ぶ重度の症状まで存在します。
原因
円形脱毛症は毛包組織に対するある種の自己免疫疾患と考えられています。通常は自己のリンパ球は自己の毛包を攻撃しないように保護されているのですがなんらかの理由で毛包を保護するバリアが破壊されると、攻撃性の高いTリンパ球が特定の毛包を攻撃します。この攻撃により症状は繰り返します。きっかけとなる背景として疲労や感染症、精神的ストレスなどが認められる人がありますが、きっかけがない人の方もいます。甲状腺疾患などの、ほかの自己免疫疾患を合併している人もいます。
治療法
治療に関しては、症状に応じて行う対症療法です。しかし、治療を続けていると、自己免疫状態が徐々に改善されて自然に治ってしまう場合もあります。具体的には毛斑の部分にステロイドの外用や注射(ケナコルト®)を行います。注射は4-6週間間隔で行いますが、痛もが強い注射です。エキシマライトの併用も有効です。
慢性膿皮症
頭皮にしこりができるほど大型のにきびのようなものができては化膿し、一度症状がおさまっても再発を繰り返す、難治性皮膚疾患です。頭皮だけではなくおしり、背中、顔面にもできる場合があります
治療法
抗生物質内服、外用薬を処方します。他治療の選択肢としては生物学的製剤ヒュミラ®という注射薬があります。ご希望の際は基幹病院や大学病院をご紹介いたします。
脂漏性湿疹
皮脂の分泌が盛んな部位にフケや赤み、かゆみを生じる疾患です。特に頭皮に生じるフケは特徴的な症状です。
治療法
脂漏性皮膚炎の原因として、皮脂の分泌異常に加えて、皮膚に常在する真菌すなわちカビの一種であるマラセチア菌の関与が考えられています。頭部や顔面、脇の下など皮脂腺が多い部位で皮脂の分泌異常が生じると、皮脂中に含まれているトリグリセリドなどがマラセチアによって遊離脂肪酸に分解されます。これが皮膚を刺激し、皮膚において炎症を生じる状態をいいます。
症状
脂漏性皮膚炎では、フケや赤みが頭部、顔面、脇の下などの皮脂腺が多く分布する部位に発生し、放置・悪化するとかゆみを生じることもあります。顔面では特に眉毛や眉間、小鼻のまわり、耳の裏、こめかみによく発症します。また、脂漏性皮膚炎は発症年齢から赤ちゃんからご高齢の方までなり得る皮膚炎です。
治療法
塗り薬や飲み薬を処方します。塗り薬はステロイド外用剤がよく使われますが、カビの薬の方が効果がある場合もあります。飲み薬では、かゆみに対しては抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が使用されます。
そのほか、化膿している場合には抗菌剤、ビタミン欠乏が考えられる場合はビタミンB製剤を使用します。皮膚を清潔に保つ、食生活に注意する、ストレスを避けることも大切です。
毎日、入浴して刺激の少ないボディーシャンプーで丁寧にやさしく病変部位を洗浄します。皮脂を洗い流すことがポイントです。ビタミンが欠乏すると皮膚症状が現れることがあります。ビタミンBが多く含まれた食品を摂りましょう。
脂漏性皮膚炎は自然治癒することは残念ながらなかなかありません。頭部の場合は、抜け毛につながることも。自己判断で放置せず、症状がでたら早めの皮膚科受診をおすすめします。
爪
爪白癬
白癬菌(はくせんきん)が足の指や裏などで増殖する事によって炎症などが起きる感染症です。一般には水虫という通称で呼ばれています。足水虫をしっかり治療しなかった場合に爪にうつってしまうのが爪水虫です。わが国においては爪白癬の患者さんは約1200万人(10人に1人程度)存在すると推定されています。
症状
爪周囲から爪甲の下に侵入し、爪甲が白色~黄色に濁ってきます。
やがて爪甲下角質が増殖して爪が肥厚し、更に増殖した角質がもろくなって脱落すると爪甲剥離状態(爪が浮いている状態)になります。
初期は爪甲表面に変化はありませんが、進行すると爪甲変形が生じ、蛎殻様になることもあります。通気性の悪い靴を長時間履いたり、激しいスポーツをしたりなど白癬菌にとって好ましい“高温多湿”という環境が整った時に、菌が増殖をし始め、症状が出てくる方が多いです。水虫が治ったと思っていても、実はまだ白癬菌が角層に残っていることが多いため途中で治療をやめてしまうとまたじわじわと白癬菌が増え、症状がでてきます。
また、白癬菌は、水虫にかかった人の皮膚からはがれ落ちる角質の中にも生きているので、それを素足で踏んだりして菌が付着することにより感染します。
そのため、同居している家族の中で水虫のひとが一人でもいると、せっかく治療しても家中にばら撒かれた白癬菌を踏んでまた感染してしまいますことも。水虫の症状がある人は薬をしっかりと塗り裸足で歩かない、足の清潔度を保つよう気を付けましょう。
治療法
内服療法は外用療法と違い、塗り忘れや塗り残しの心配がなく、日々の治療に要する時間や手間もかからないので簡便かつ確実な方法ですが、ごくまれに肝機能障害などの服作用を起こす可能性や、他の薬剤との相互作用に基づく併用禁忌、肝障害のある方には使用できないなど、注意すべき点もいくつかあります。菌内服薬全てを併せると治癒率は70~80%といわれています。内服薬ほいどではありませんが有効な外用薬もあります。
陥入爪
陥入爪・巻き爪とは、爪の先端や両端が周辺の皮膚に食い込んだ状態を指します。痛みや腫れ、感染などの症状 を引き起こすことがあります。陥入爪とは、爪の横の肉に爪が食い込んだ状態、巻き爪とは、爪が弯曲したした状態を指します。つまり、巻き 爪でない陥入爪もありますし、巻き爪であっても陥入爪になっていないこともあります。
原因
生まれつき爪の形状が厚く硬い人や、爪が内側に曲がりやすい人は陥入爪・巻き爪になりやすいとされています。 また爪を切りすぎると陥入爪・巻き爪になりやすいです。また足の形やサイズに合わない靴を履いていると、爪 が圧迫され陥入爪・巻き爪になりやすいです。先端の細い靴やハイヒールなどは特に爪を圧迫しやすいといえま す。また、サイズが大きい靴を履いていると靴の中で足が前に滑り、結果的に爪が圧迫される原因になることも あります。体を動かす激しいスポーツも足に過度な負担をかけるため、爪にも圧力がかかり、陥入爪・巻き爪の 原因になることがあります。また、肥満の方は足に負担がかかりやすく、爪に圧力がかかることがあります そのほかにも足を不衛生な状態に放っておくことや、けがをしたり、手術などによって爪を抜いたりすることも 陥入爪・巻き爪の原因となります。また、足の変形や骨に異常がある方は、陥入爪・巻き爪を繰り返すこともあります。爪白癬という病気が陥入爪 ・巻き爪の原因となっている場合もあります。
治療法
当院ではクリップを使ったり、爪切り指導、テーピングなどを用いた治療を行います。
グリーンネイル
爪甲の緑膿菌感染症です。ここ数年はジェルネイルをセルフネイルで楽しんでいる人も増加中。でも、その人気に合わせて増えているのが、ジェルネイルを剥がした後に爪が緑色になっているのに気がつく、通称「グリーンネイル」と呼ばれるトラブルです。グリーンネイルになったら、皮膚科を受診しましょう。この緑色の正体は緑膿菌(りょくのうきん)という細菌が出す色素です。緑膿菌は自然の環境下では普通に存在するもので、私たちの体のさまざまな部分にも存在する常在菌です。免疫力が低下した方には厄介な細菌ですが、健康な状態では悪さはしません。
治療法
爪と付け爪の隙間の感染が認められた場合、まずは付け爪を外し抗菌剤の外用をするなどがあります。治癒するまでは爪には何もつけないで過ごしましょう。
爪甲剥離症
つめが下の皮膚から遊離する状態を爪甲剥離症といって、つめの先端部から起こり始めます。
原因
爪甲剥離症の原因は、非常に多彩です。マニキュアや洗剤、機械的な刺激でなることが多いです。また極めて軽 い湿疹(しっしん)やかぶれが起こった場合、手の皮膚ではわずかに皮がむけるだけで治っていきますので、気 づかずにすむことが多いのですが、つめの下ではほんのわずかに皮がむけた状態でも、つめははがれて浮いた状 態となります。しかし中には、甲状腺(せん)機能異常や貧血などの全身性疾患に伴うものや強皮(きょうひ〕症、乾癬(かん せん)、掌蹠(しょうせき)多汗症などの皮膚疾患の部分症状としてみられるものもあるので注意が必要です。
治療
顕微鏡で真菌症ではないことを確認し、症状によっては液体のステロイド外用薬の使用をする場合もあります。治るまでには時に数か月ほどの時間が必要です。
爪甲色素線状
爪に縦に黒い線がでている状態をいいます。靴や楽器を使うことによる刺激によることが多いです。赤ちゃんや幼児の場合は思春期までに薄くなったり自然に消失するものもあります。成人以降に発症した爪甲色素線状は稀に悪性黒色腫のこともあるため皮膚科専門医による詳しい診察をおすすめします。
治療法
残念ながら治療法はありません。色や線条の幅などに変化がないかどうかを定期的に経過観察します。爪全体に広がってきたり、色が濃くなってきたなどの変化が見られる場合は、基幹病院や大学病院に受診していただく場合があります。
爪の悪性黒色腫
多くの場合、爪甲色素線状ですが、爪の悪性黒色腫のこともあります。その場合横幅が6mm以上で濃淡差があったり、爪全体にひろがってる爪の根本や指先の皮膚に黒いもしくは褐色の斑点がみられる(ハチンソン兆候)などの症状があります。この症状がみられたらすぐに皮膚科専門医にご相談を。そのほかにも爪の先端と根元で黒い縦筋の色が異なる。または爪が割れたり変形したりしている、急激に黒い部分が広がっている場合も大変注意が必要です。
爪下血腫
爪の下に生じたいわゆる「血豆」の一種です。ある日突然、手足の爪の下に黒く(赤黒く)なっていることに気付く場合が多いようです。ドアにはさんだとか、物が落ちたとか、けがをした後に生じることがほとんどですが、原因を覚えてないことも少なくありません。爪の下が黒くなっていますが、爪の変形や爪の周りに色がにじんでいることはありません。悪性黒色腫という悪性の腫瘍と似ていて紛らわしいので、原因に覚えが無い場合は専門医の診察が望ましいです。
治療法
痛みが強い場合は針で爪の一部に穴をあけ、血をぬくこともありますが、通常は、経過観察のみです。経過としては血腫部分爪の成長にともなって上に移動し、消えていくか、自然に消滅します。しかし、爪が剥離する場合もあります。剥離した際、痛みを伴う場合も皮膚科受診をおすすめします。
その他
酒さ
酒さ(しゅさ)は中年以降の男女(女性に多い)に生じることの多い原因不明の慢性炎症性疾患です。顔の毛細血管拡張、赤ら顔、ほてり、ピリピリとした感じが長く続きます。紫外線暴露、寒冷・温熱刺激、香辛料などの刺激物の摂取、飲酒、ストレスが悪化因子となります。酒さと症状が似ていますが、長期間ステロイド外用をすることで生じる酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん:ステロイド酒さ)という皮膚のご病気もあります。こちらはステロイドに対する副作用の一つと考えられています。どちらも治療には時間が必要で、治療が難航することも珍しくありません。
症状
酒さは①紅斑毛細血管拡張型②丘疹膿疱型③鼻瘤④眼型の4型に分類されます。
- 毛細血管拡張型
顔が赤くなり、毛細血管の拡張がみられます。ほてりやヒリヒリ感があります。
- 丘疹膿疱型
赤い盛り上がりや膿のたまったニキビのようなぶつぶつがみられます。ほてりやヒリヒリ感があります。
- 鼻瘤
鼻を中心に腫瘤を形成します。
- 眼型
眼の充血、異物感やかゆみ、乾燥、まぶしさを感じます。
酒さの進行の仕方
- ステージ1:酒さの初期で、顔が繰り返し赤くなる、ほてるような症状が現れます。
- ステージ2:顔の皮膚表面の毛細血管拡張と赤みが常にみられる状態です。
- ステージ3:赤みやほてりに加え、赤い盛り上がりや膿のたまったニキビのようなぶつぶつがみられます。
- ステージ4:鼻が赤く膨らみ、鼻瘤が形成されます。
原因
酒さの原因は明らかになっていませんが、臨床病態の観察から複数の増悪因子の関与が指摘されています。紫外線や高気温・低気温などの外部環境、精神的ストレスや食べ物などによる体の内部環境、その他、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
治療法
酒さの治療は、①悪化因子の除去 ②スキンケア ③医学的治療となります。 適切に遮光(紫外線対策)し、刺激の少ない洗浄剤や保湿剤を使用します。医療機関を受診し、皮膚科専門医に ご相談されることをおすすめします。
- メトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)
日本でも2022年に保険適応となりました。治療改善後の再発防止のための維持治療にも有効であると言われております。
- テトラサイクリン系抗生剤内服
ニキビに準じた抗生剤治療となります。自然免疫が亢進した状態を抑制する働きもあると考えられています。
- アゼライン酸
海外では酒さの治療として推奨されています。自費薬ですが当院にご用意があります。
日光角化症
表皮内の細胞が、がん化することによって生じます。
原因
慢性的な紫外線刺激が原因と考えられています。前癌病変です。
症状
中年以降の顔面、手背、前腕などの日が当たりやすい部分に良くできます。数mm~1cm程度の紅い斑点として発症します。単発のことも、多発することもあります。
診断
典型的なものであれば、皮膚科医であれば見れば診断できます。ダーモスコープを使用することもあります。最初は湿疹病変と区別が難しいことも。日光角化症と湿疹などの炎症性疾患が併存することもあります。その場合はまずステロイド治療などを行います。治療に反応しない時に、病理検査をして日光角化症の診断に至ります。それでも手遅れになることはほとんどありません。初期症状は痛みもかゆみもありません。見慣れない赤い発疹があったら皮膚科受診をおすすめします。
治療
病変の数や、年齢などから個々に治療法を判断する必要があります。手術、液体窒素を用いた凍結療法、イミキモドクリームの外用があります。
多汗症
「温熱や精神的負荷の有無いかんに関わらず、日常に支障をきたす程の大量の発汗を生じる状態」を原発性多汗症と定義しています。発汗する部位によっても「全身性多汗症」と「局所性多汗症」とに分けられます。局所性多汗症は、腋窩、手の平、足の裏などの発汗が異常に多い場合です。温熱や疾患といった原因のほかにも、緊張などの精神状態に影響を受けて発汗量が増加する場合があります。全身性は全身の汗が多くなっている状態です。
原因
「続発性多汗症(二次性多汗症)」は原因がわかる多汗症です。全身性の病気(感染症・神経性疾患・糖尿病・低血糖・内分泌代謝異常など)が原因となる場合や、外傷や悪性リンパ腫といった局所的な神経障害が原因となる場合等があります。その他にも、解熱剤や向精神薬、ステロイドといった服薬中の薬の副作用などによるものも考えられます。
「原発性多汗症」は、発汗量が異常に多くなる原因が特に明らかにできていない状態を言います。脳になんらかの異常があり、交感神経が優位になりやすいため発汗が促進されているとの考えもありますが、解明されているわけではありません。原発性多汗症は対人ストレスなど精神的に苦痛に感じる機会が多い人ほど発症しやすい傾向にあるとされています。他、家族・親族内で多汗症の人がいるケースが多く報告されていることから、遺伝性の可能性も指摘されます。活動的な年代の方に発症することが多い疾患のため、精神的苦痛とともに恥ずかしさを感じていると思われます。同調査によると多汗に悩んでいても3人に2人は医療機関を受診できていないといわれています。診断局所多汗症は局所的に必要以上の発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上認められ、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合診断されます。(2項目当てはまる場合、診断を確定するために発汗検査を行うことがあります。)
- 最初に症状が出るのが25歳以下である。
- 身体で左右同じように発汗が見られる。
- 睡眠中は発汗が止まっている。.
- 1週間に1回以上汗をたくさんかく。
- 家族に同じ病気の人がいる
- 汗によって日常生活で困る事がある。
治療法
現在、行われている治療は、以下となっております。
- 抗コリン外用薬
多汗症の治療薬として近年新たな薬剤が保険適応として発売され使用されています。
- 塩化アルミニウム外用薬
- 注射薬
ボツリヌス毒素局注療法
- 抗コリン経口薬
- イオントフォレーシス
- 手術
多汗症の治療薬として近年、新たな薬剤が保険適応として発売され使用されています。
予防
ストレスをためない生活習慣、刺激物(唐辛子コーヒーなどカフェインを含むものなど)をできるだけ避けて、栄養のバランスがとれた食事を心がけることなどです。
掌蹠膿疱症
手のひら、足の裏に膿がたまったプツプツ(膿疱)が繰り返しできる病気です。
症状
小さい水ぶくれ(水疱)が手のひら、足の裏にできます。これが乳白色の膿が付着したぶつぶつだったり、黄色いプツプツ(膿疱)に変わります。ひび割れたり、カサブタ(痂皮)ができたりして、皮膚が分厚くなります(角質増殖)。さらには上記が全部混じった状態となり、繰り返します。
診断
水虫(足白癬)と区別が必要なため皮膚科の受診をお勧めします。皮膚科では顕微鏡で水虫の原因白癬菌の検査 をすることがあります。また、ダーモスコピーという特殊な虫眼鏡を使って、他の病気との鑑別を行うこともあ ります。歯科金属のアレルギーも関係する場合があるためパッチテストを行う場合があります。 掌蹠膿疱症は関節が痛くなることもあります。掌蹠膿疱症性骨関節炎(pustulotic arthro-osteitis: PAO)と呼びます。 この場合、関節リウマチとの鑑別が必要ですので、血液検査が必要です。関節痛をともなう場合は、基幹病院、 大学病院をご紹介、受診していただき、全身的な検査、治療をする場合もあります。
外用薬
炎症を抑えるステロイド外用薬や活性化ビタミンD3外用薬、時に抗菌外用薬も処方されることがあります。手足の乾燥が強くなる患者さんでは保湿剤を何度も塗るのが有効です。保湿剤も保険適用になります。
- 紫外線(ナローバンドUVB(エキシマライト))
乾癬に効果的な特定領域の波長の紫外線を照射する医療機器です。週1~2回で照射して症状を改善させ、紫外線を当てると、手足のブツブツを作っている白血球が消え、皮膚症状が改善します。
- 注射
グセルクマブ、リサンキズマブ。
ご希望される方は、基幹病院や大学病院にご紹介いたします。
尋常性乾癬
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)は皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、皮膚がもり上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、銀白色の細かいかさぶた「鱗屑(りんせつ)」皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、皮膚がもり上がる「肥厚(ひこう)」、が主な症状です。この銀白色の細かいかさぶた「鱗屑(りんせつ)」は無理にはがすと出血してしまいす。広範囲に慢性的に経過し、患者様のQOLを著しく障害します。通常、体内に異物(細菌やウイルスなど)が入ったときにそれを排除する際にある物質が影響して炎症を引き起こします。この炎症に関わるある物質というのがサイトカインです。乾癬では、このサイトカインの1種、炎症性サイトカインが増えすぎることで皮膚だけでなく全身のさまざまな部位に影響を及ぼし、多様な症状があらわれると考えられています。その中でも、爪の変化、関節の痛みや変形、生活習慣病(高血圧等)のリスクになることが分かっています。乾癬には、尋常性乾癬、関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)、乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)、滴状乾癬(てきじょうかんせん)の5種類があります。
悪化因子
肥満・喫煙・過度な飲酒・紫外線・季節・ストレス・感染症・摩擦・外傷
治療法
ステロイド外用剤、ビタミンD3外用剤、ステロイドとビタミンD3合剤外用剤、ビタミンHの内服などが中心となります。
紫外線(ナローバンドUVB(エキシマライト)):乾癬に効果的な特定領域の波長の紫外線を照射する医療機器です。週1~2回で照射して症状を改善させ、2~3週間に1回照射して維持療法を行います。
- シクロスポリンとチガソン®(レチノイド)
難治性の患者様に使用します。
治療効果は高いのですが、それぞれ副作用がありますので定期的な採血検査が必要です。 - オテズラ
2017年3月に発売された経口PDE4阻害剤です。中等症から重症の患者様に使用します。また、オテズラ®は、光線療法との併用も有効です。
- リウマトレックス
皮疹は軽度ですが関節症状が強い場合に使用します。副作用として、口腔炎や吐き気などの消化管症状、貧血、間質性肺炎などがあり、それらの副作用を軽減させるために、通常は葉酸(フォリアミン®)を併用します。また、定期的な採血と胸部レントゲン検査が必要になります。
- リンヴォック®及びソーティクツ®
関節症性乾癬の患者様への治療薬です。内服薬です。通常、成人では1日1回毎日服用します。また、事前の採血検査とレントゲン検査に加えて定期的な採血検査が必要になります。特に注意すべき副作用として、帯状疱疹、単純ヘルペスなどの感染症などがあります。
- 生物学的製剤
中等度以上の患者様、関節症性乾癬や膿疱性乾癬の患者様には、生物学的製剤を検討します。現在、尋常性乾癬には生物学的製剤(レミケード®、ヒュミラ®、ステラーラ®、コセンティクス®、トルツ®、ルミセフ®、トレムフィア®、スキリージ®、シムジア®、イルミア®)の10種類の生物製剤があります。
使用機器・薬剤・検査
エキシマライト
紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応を起こしている皮膚の症状を沈静化させる治療法です。
紫外線のUVBのうち、より治療効果が高い波長領域の308nmの紫外線を照射することで、さまざまな皮膚疾患の症 状の改善が期待できます。
ステロイドなどの外用薬のみでは改善しないアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に有効で、 色素細胞(メラノサイト)を刺激し、色素再生を促すため、白斑の治療にも効果があります。2020年4月からは、 円形脱毛症にも保険が適用されました。
毛包を刺激し発毛を促す効果が期待できます。 適応となる疾患は、
などです。
エキシマライトは様々な疾患に有効です。病気と症状の程度により、治療期間が異なります。
頻度
週に1~3回
治療期間
程度2か月~半年程度
効果には個人差がありますが、5〜10回目から効果を認め20〜30回程度が目安です。
コンテスクリーンフォーム
お肌にしみにくい洗浄剤です。 お肌と同じ弱酸性できめ細やかな泡が出てくるポンプ式です。とてもシンプルな処方で、洗浄剤がお肌にしみるという方に最適。低刺激な洗浄剤で、赤ちゃんやお子様にもおすすめ。 やけど、擦り傷などがあってもしみるこなくご使用できます。防腐剤・アルコール・香料・色素・増泡剤フリー。
容量:200mL
価格:¥1,210(税込)
使用方法
ぬるま湯で軽くぬる流し、手のひらの泡を2-5プッシュし、やさしくお肌になじませます。その後ぬるま湯で洗い流してください。
m-BFクリーム
m-BFクリームとは銀を配合した水いぼ専用クリームです。水いぼは通常半年から2年という長い時間をかけて自然 に改善しますが、m-BFクリームをご使用いただくことで、半数の方が2ヶ月以内に、8割の方が2〜3ヶ月で改善するとも言われております。
ぜひご活用ください。・痛みを伴う治療は避けたい方にはおすすめです。
使用方法
1日2回、朝と入浴後に水いぼ部分を含め周囲に少し広げて外用してください。
2,200円(税込み)
アレルギー検査View39・(保険適用)
『View39』は、血液検査によって日常生活でアレルギーを起こしやすい物質を39種類検査ができます。問診や臨床所見から原因推定が難しい患者様、アトピー性皮膚炎、花粉、食物アレルギー症候群が疑われる場合の検査として有用です。(保険適用が可能)
デュピクセント
デュピクセントは、「IL-4」と「IL-13」をはじめとするサイトカインという物質が皮膚の内側の炎症を引き起こし、皮膚のバリア機能やかゆみを誘発します。デュピクセントは「IL-4」と「IL-13」の働きをピンポイントにおさえます。これにより、皮膚の症状が大幅に改善されることが多く報告されています。また、ステロイドとは異なり、長期間の使用でも副作用が少ない点が特長です。
適応となる方
- 中等度から重度のアトピー性皮膚炎の患者さん
- 今までの治療法で十分な効果が得られない方
※過去にデュピクセント®に含まれる成分に対して、アレルギー反応を起こしたことのある方は受けられません。
投与法
自己注射式の製剤であり、2週間ごとの投与が一般的です。
注射部位
二の腕やおへそのまわり、ふとももに注射します。
副作用
- 過敏性反応(ふらつき感、息苦しさ、心拍数の上昇、めまい、嘔気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、関節痛、発熱、血管性浮、 など)
- デュピクセント®を注射した部位に、発疹や腫れ、かゆみなどの症状がみられる場合があります。
- ヘルペス感染(口周りや唇に発疹などがみられる場合があります。)
- 結膜炎(目やまぶたの炎症症状(赤み、腫れ、かゆみ、乾燥など)がみられる場合があります。)
- デュピクセント®は免疫のはたらきをおさえるため、寄生虫に対する抵抗力が弱まり、寄生虫感染をしやすくなる可能性もあります
- 寄生虫感染が治癒するまで本剤の投与を一時中止することがあります。
- 血中の好酸球数が増えることがあります。(発疹、むくみ、咳、発熱、だるさ、息切れ、呼吸困難、呼吸時に
- 「ゼーゼー」音がする、血痰(血液の混じった痰)、動悸、息苦しさ、手足のしびれ、麻痺(動きが悪くなる)など)
効果
個人差がありますが1回か2回で効果が出現することが多いです。